【 タイトル 】 「海の向こう」
【 脚本製作 】 原案:どんのこ / 脚色:伴松スグル
【 登場人物 】
・ 市助(イチスケ) ♂ 23歳 攻
鷹乃丞の家に仕える家臣であるが、鷹乃丞とはほぼ同い年。
鷹乃丞を頼もしく感じている。
・ 鷹乃丞(タカノジョウ) ♂ 23歳 受
武士の子。
父の仇を討つべく特訓していたが、
海の向こうの世界(メリケン)に憧れを抱き市助と共に出航する。
※この作品にはボーイズラブ要素が含まれていますのでご注意ください。
≪第1場:出航≫
鷹乃丞 「帆を張れ!いよいよ出航だ、出航だぞ――――!」
市助 「鷹乃丞、とうとう、海の向こう・・・しがらみのない自由の国へ」
鷹乃丞 「ああ、楽しみだ。楽しみだぞおおおお(と海に叫ぶ)」
市助 「(その横顔を、頼もしく見つめる市助)・・・・・・鷹乃丞!」
≪第2場:嵐≫
市助 「熱病? 鷹乃丞が熱病に侵されたというのか?
くそう。海の向こうの国までもうすぐだというのに。
鷹乃丞、しっかりしろ、おい鷹乃丞!」
鷹乃丞 「ううう。ううううう。苦しい」
市助 「しっかりしろ、おい、鷹乃丞、おおおーい」
鷹乃丞 「メリケンは、メリケンは・・・」
市助 「ああ、もうすぐ着くぞ。
お前が行きたかった海の向こうに、もうすぐ着くぞ。」
鷹乃丞 「ああ、見たい。海の向こうを見てみたいよ」
市助 「大丈夫だ、いっしょに見ような。大丈夫だぞ。
・・・・・・そうだ、鷹乃丞の父上から、授かっていた薬がある。
これを飲ませれば、・・・・・・鷹乃丞、しっかりしろ、薬だ、
お前の父上より、もしもの時にとあずかっていた薬だ、これを、飲め。いいか。
・・・・・・ええい、俺が飲ましてやる。(と口移しで飲ませる)」
鷹乃丞 「んん。んんんんん」
市助 「鷹乃丞、お前の身体の熱を、全部吸い取ってやるからな。
(と、身体を鷹乃丞にかぶせて抱く)」
鷹乃丞 「イ・チ・ス・ケ」
市助 「鷹乃丞」
≪第3場:晴天、そして・・・≫
鷹乃丞 「(気が付く)市助、おい市助」
市助 「(寝ている)」
鷹乃丞 「そうか、お前、俺のこと抱いててくれたんだな。
・・・あのな市助、俺はずっと前からお前の事が・・・
・・・って寝てる奴に言っても意味ないか・・・
市助、起きろ。着いたぞ。
メリケンについたぞ。海の向こうに着いたぞ。」
市助 「・・・・・・(目を覚まし、鷹乃丞の呼ぶ方へ)
・・・・・・これが、海の向こう。メリケン。海の向こう。・・・・・・」
鷹乃丞 「(見つめ合い)うをおおおおおおおおおおお!
(と、猛獣のような声をあげて、叫び抱き合い、転げあう)」
END